北陸を代表する月刊地域情報誌の「Clubism(クラビズム)」や「金澤」を発行していた金沢倶楽部が事業を停止しました。活字離れによる出版不況のなか、新型コロナウイルスの感染拡大による広告出稿の落ち込みが追い打ちをかけたようです。地域の読者さんや新幹線開業によって関東エリアから北陸へ来られる皆様にとっての観光情報バイブルの役割をも果たしていたので残念でなりません。
実はもう幻となってしまいましたが、5月20日発刊予定だった6月号の企画でおいしい中国茶の旺徳福を取材していただいておりました。新茶のシーズン、日本茶のみならず、紅茶や中国茶なども旬のお茶が出回る季節を迎え、また新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために外出自粛が求められている中、気分転換やストレス解消の一助になればとの思いも込めて、自宅でのお茶時間をがより豊かになるような初夏ならではのおいしいお茶の愉しみ方をお伝えする企画でした。
本来であれば世に出ない幻の原稿なのですが、ゲラ原稿をお届けいただいておりましたので、企画・編集のご担当者さんへの感謝と今後の新天地での益々のご活躍をお祈りする意味でブログにてご案内させていただきます。
※記事原稿
プロに訊く旬のお茶、初夏の楽しみ「中国茶・台湾茶」編
毎年のように中国や台湾の産地を訪れ、その年の出来を確認して茶葉を仕入れるという『旺徳福』の長嘉信さん。嗜好品としてだけでなく、薬としても飲まれてきた中国茶の歴史や効能に関心を持ち、現地の茶館を訪れて本格的な楽しみ方を探求。一方で、専用の茶器がなくても気軽に中国茶を楽しめる方法も伝えている。長さんによると、6月は一年で一番、茶葉の種類が豊富な時期。中国茶を楽しむにはおすすめの季節だという。
「夏の暑い時期、体を冷やすには緑茶や白茶、黄茶、発酵度低めの青茶を飲むといいでしょう」と長さん。中国茶は茶葉の発酵度合や水色から、緑茶、白茶、黄茶、青茶、紅茶、黒茶という6種類に分類されるが、発酵度が低いものほど体の熱を取り、逆に発酵度が高ければ体を温める作用があるとされている。店で提供する時は茶葉や聞香杯がセットになった工夫式の茶具を使うが、一般的な急須や湯呑みでも代用できる。
また、”香りの春茶” ”味の秋茶”と言われているように、中国や台湾の茶は春と秋に収穫を迎えるものが多く、6月には春茶が多く出回る。その香りの良さを実感するには長細い形のグラスを使って淹れるのがおすすめだ。立ち上る香りと、青々とした茶葉の色で春らしさを満喫できる。
冷たい中国茶も魅力的。水出しで一晩置いておけばどんな茶葉でもおいしい冷茶が作れるそうだが、もっと時間を短縮したいという人には、少量のお湯で茶葉を蒸らし、その後氷を投入する抽出方法も知っておきたい。
「茶葉の量、お湯の温度、蒸らし時間さえ注意すれば、身近な道具だけでも中国茶を簡単においしく淹れることができます。あらゆることが目まぐるしく変化する時代だからこそ、ゆっくりと湯の沸く音を聞き、お茶のいい香りに包まれて安らいだ時間を過ごしていただきたいと思います」