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コラム"お茶の壺"  |  2020.07.22  |  最終更新日:2021.06.10

おいしく淹れるために(茶器の素材)

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コラム「お茶の壷」第八話
前回投稿から随分と時間が空いてしまい申し訳ございません。
実は新型コロナウイルス感染拡大防止対策に追われ、消毒用アルコールの確保、自動噴霧器設置、空気清浄機の設置などを行いました。洗い場の自動水栓、トイレの自動化・省エネ化など、まだまだできることがありますので順次実行して参ります。ご来店のお客様に安心してお茶時間をお過ごしいただけますよう対策して参ります。

前置き(言い訳?)はこれくらいにして、早速前回の続きをお話ししていきましょう。
前回はおいしいお茶を淹れるために茶壷や蓋碗、茶漉し付きマグカップなどをご紹介しましたが、今回のテーマはお茶を淹れる道具の素材についてです。お茶を淹れる代表的な茶器である茶壷を題材に、素材について見ていきましょう。

【ガラス】

耐熱ガラスの茶壷でお茶を淹れるとき、茶壷の中の茶葉の状態やお茶の色を眼で見ることができるので、中国茶・台湾茶を始めたばかりの方におすすめの茶壷です。例えば硬く丸まった高山茶の茶葉がゆっくりとほどけて行く様子を観察することができます。バラのお茶や菊茶、八宝茶などを淹れるときは、その色合いを見ているだけでほんのりした気持ちになれますよ。

ガラスの弱点は、”熱し易く冷め易い”ことです。また、素材的に割れ易いのでお茶時間を愉しんだあと、茶壷を洗う時には注意が必要です。布巾で拭くときも、持ち手を持って布巾を強く茶壷に当てて水気を拭き取ろうとすると”ポキッ”っと持ち手が本体からとれることがあります。優しく扱ってあげてください。洗剤で洗うことができますし、茶渋が気になったらキッチンハイターに浸けておけば綺麗になります。

【磁器】

磁器は磁土で作られます。磁土は石英、長石、絹雲母、高嶺石などを含有しており、原料を完全に風化させて細かく砕いて洗い、質の良い磁土を抽出して作られます。また、磁器はガラス質になる成分比率が多いため、1,200℃~1,300℃の高温で焼成します。磁器の表面にかける釉薬も高温で溶けるよう釉薬の成分を調整しています。
磁器の表面は素地が緻密でツルツルとした感触です。これは磁土が焼き締まることで粘土の隙間がなくなるからです。陶磁器の密度と焼成度の指数である気孔率は、磁器の場合は2~8%です。そのため磁器の吸水率は0~0.5%。ガラス質が多いためガラスの茶壷と同様に磁器の茶壷も熱伝導率が高い、つまり熱し易く冷め易いと言えます。

磁器の茶器はしっかりと焼き締まっていますので、お茶の味や香りに影響を及ぼすことがほとんどありません。茶葉が持つ本来の味と香りをそのまま素直に表現してくれるのが磁器の良さです。また気孔率、吸水率が低いので匂い移りもほとんどありませんので、茶器を洗うことで様々な茶葉を愉しむことができます。まさにオールマイティーな茶器と言えます。特に緑茶や清香(チンシャン)を愉しむ安渓鉄観音や台湾の高山茶など発酵度が軽めの茶葉に最適です。

【陶器】

陶器は陶土で作られます。陶土は様々な有機物(鉱物、鉄分、炭化した植物など)を含んだ土ですので有色です。使用する土質によって素焼き後の色見も違ってきます。900℃~1,000℃で焼き上げるため陶器の気孔率は12%~38%。吸水率は8%以上です。そのため陶器の表面は多気孔でザラザラした感触がします。多気孔とは目に見えないほどの小さな孔(あな)がある状態を言います。この状態は表面だけでなく素地の中にもあります。これは素地の中に閉じ込められた空気とも言えます。陶器の中に閉じ込められた空気が断熱材の働きをするため、熱を通しにくく保温性が高くなります。

陶器の茶器は茶湯の高温を保つので、より香り高いお茶が愉しめます。鉄観音や大紅袍などの岩茶、そしてプーアール茶など重厚感のある香りのお茶には最適です。また、多気孔の陶器はお茶の渋さを逃がしてくれるので、よりマイルドなお茶が愉しめます。
陶器は多気孔で吸水率も高いため、気孔の中に香りや味の成分を吸い込みます。例えば陶器の茶壷で同じ茶葉を使って数回お茶を淹れれば、その茶葉の香りが茶壷に染みついて、お茶を淹れる前からお茶の香りを感じることができます。陶器の茶器は香り付けをし、使う度に残ったお茶を表面に塗り、茶器を優しく撫でてあげることで茶器そのものが育って行きます。このことを”養壷”(ヤンフゥ)と言います。ただし、香りが付くと言うことは、違う種類の茶葉でその茶壷を使うことができません。香りや味が混ざり合ってしまうからです。ご自分のお気に入りの茶葉が見つかった時に陶器の茶壷を買い求めて養壷してください。

※紅泥と紫砂
中国茶用の陶器の茶器ですが、赤っぽい褐色のものを”紅泥”、灰色っぽいものを”紫砂”と言います。
紅泥は保温性が高く熱の回りが早いのが特徴です。気密性が高いため、香り高いお茶が愉しめます。反面喉越しは少し硬く感じます。
紫砂は紅泥より保温性が低く冷めやすいのですが、柔らかくて口当たりの良いお茶が愉しめます。喉越し重視なら紫砂茶壷がおすすめです。

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