おいしいのために(水を選ぶ)

コラム「お茶の壷」第六話
今回は少しマニアックになりますが・・・
「お水」をテーマにおいしい中国茶の愉しみかたを探っていきましょう。

私は仕事柄中国や台湾へ良く出かけます。また、その昔中国茶が例えば”茶馬古道”を通して伝わった地域や、東南アジアなど各地を旅することがあります。そしていつも思うのですが、水道の蛇口をひねると出てくるお水をそのまま飲用できるのは日本だけですね。しかもおいしいです。
このお水ですが、当然のことながらお茶の味と香りに影響します。おいしい中国茶・台湾茶を愉しむために、お水について知ることで、よりおいしいお茶が愉しめるようになりますよ。

一口にお水と言っても、”軟水”と”硬水”があります。この軟水と硬水は1ℓ中に含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量で決められます。WHOの基準と日本の基準では少し違いがあるのですが、1ℓ中に含まれる量が60㎎未満(WHO基準)、100㎎未満(日本基準)を軟水と言います。基準値以上含まれる場合は中硬水、あるいは硬水、非常な硬水と言います。

お茶に適しているのは軟水でしょうか?それとも硬水?
好みによって意見が分かれるかも知れませんが、一般的に硬水でお茶を淹れた場合、お茶に含まれるタンニンはカルシウムと結合しやすいためお茶水の色が濃くなります。また、同じように茶葉に含まれるカテキンがカルシウムと結合することで、風味が希薄になるようです。
軟水でお茶を淹れた場合、硬水でお茶を淹れた時と比べてみると、茶葉の持つやわらかな甘味や爽快感などお茶の細かなニュアンスまで引き出してくれます。お茶を淹れるのに適しているのは軟水と言えるでしょう。

では、日本の水道水は?
日本の水道水は軟水です。しかも世界一と言って良いほど綺麗なお水なのです。蛇口を捻って出てくる水をそのまま飲める国はヨーロッパの一部と日本だけです。水道水は水道法と言う法律で厳しく管理されており、雑菌の繁殖を防ぐために塩素処理されています。この塩素がくせもので、塩素の残存量が多いとカルキ臭として異臭を放つのです。
水道水でお茶を淹れる場合に、このカルキ臭を抜くことでおいしいお茶が入ります。

カルキ臭を抜くには次のような方法があります。
①活性炭入り浄水器を使う
一度沸騰させてからだとさらに効果あり。
②沸騰させる
沸騰して泡がぼこぼこしている状態で2~3分。鉄瓶がおすすめです。
ただし、沸かし過ぎは水中の酸素がなくなり、お水が新鮮さを失ってしまいますのでご注意ください。
③汲み置き
一番簡単な方法ですね。4~5時間汲み置きし、水中の塩素が蒸発するのを待ちます。
できれば前日に汲み置きして1日放置するのがおすすめです。
※カルキ抜きをした水道水は殺菌作用のある塩素が無い状態です。時間が経過すると雑菌が繁殖しますので、早めにお使いください。

身近にあるお水として水道水がありますが、おいしいお茶を愉しむためにミネラルウォーターを購入するのもありですね。このミネラルウォーターにも色々種類がありますので、購入する場合は軟水か硬水か、pHは弱アルカリ性か、中性か、それとも弱酸性なのか、品質表示を良く確かめてご購入ください。
※pH(ペーハー)は6.7~7.3がおすすめです。お茶の水色、味、香りをうまく引き出してくれます。

おいしいお茶を愉しみたいあなたに最もおすすめするのが天然水です。
天然水の中でも湧き水が最上。湧き水は常に流れている状態にあるお水で、特に砂岩層を浸透したものは何度もろ過したのと同じで透明度が高く、お茶の味をしっかりと引き立ててくれます。
日本は水が豊富な国ですので、全国各地においしいことで有名なお水があります。今度のお休みには森林浴も兼ねて水汲みに行かれてはいかがでしょうか。

ちなみに、おいしい中国茶の旺徳福の茶房で使っているお水は、石川県能美市仏大寺にある遣水観音霊水堂のお水です。こちらのお水は平成の名水100選に選ばれています。おいしいお茶はもちろん料理にも使っています。当店からは車で30分ほどの距離ですので案外近い場所なのですが、水汲みに来られる方が半端じゃないので、いつも早朝5時頃に汲みに行っております。とってもおいしいお水ですよ。(※pH6.8 弱酸性 天然湧水)